8月がおわります。
毎年そうなんですが、夏は暑くて、熱い。
たまには、おだやかな夏を、のんびりして過ごしたいと
思うのですが、なかなかそうはいきません。
この夏は、私にとって、大変学びが多い夏になりました。
とくに、自分がどのような立ち位置で、何を目的にしていくのかを
図らずも、問い直すことになりました、
もともとを振り返ってみれば、薬局という場所を、
なんとか地域医療の中で、今までよりも、もっと役に立つ場所に
できないかと思って活動を始めたのが、2002年ごろ。
薬局店頭で私が医療相談(市民健康祭り程度の健康相談)を
無料で受けるということがきっかけでした。
八百屋でも本屋でもない。でも、クリニックでも病院でもない。
薬局というファジィな場所で可能な健康相談はあるのではと思いました。
これがきっかけで、薬局新聞に連載をもたせていただくようになりました。
その後、処方箋だけでなく、サプリメントも、がんやアレルギーで悩んでいる
患者さんのニーズに応えて、薬局で信頼できるモノを
お届けする必要があるんじゃないかと思ってやりました。
ただ、問診だけでは心許ないので、位相差顕微鏡を使った
血液細胞分析を薬局店頭でできないかと考えました。これは結構おもしろくって
ファイルメーカーで解説表を作り、各店舗で検査した画像と問診データを
送っていただき、私が医師としてコメントを返すということもやりました。
このころ、結構ITの活用に目覚めたという感覚がありました。
で、2004年ごろからは、在宅医療というよりは、介護施設での
薬物治療にかかる問題にぶちあたり、薬局の有り様を再度考えるように
なりました。
まずは、調剤も一包化が主流になり、その配薬、管理をきちんとする
というところから始まりました。この問題は、大変手強かったです。
特に、薬剤師を薬局の外の業務に向けるということに関して、
薬剤師自身のこころのハードルが高かったですし、行った先で
介護施設のスタッフ、とくにキーとなる看護師とどのようにコミュニケーションを
とるのかは大きなテーマとなりました。このことに四苦八苦しながら、
あっという間に2年ほどが過ぎました。このあたりが薬局3.0ということです。
さらに、医療・介護スタッフが少ない場所で医療ニーズが高い患者さんが
長期に療養されるという問題に気づき薬剤師が見守り機能の補完的な役割が
果たせないかと、血圧や脈拍、体温の測定など、基本的なバイタルサインチェックの可能性について考えるようになりました。
社内でのバイタルサイン講習会を開催したのが、2008年の6月。
実際にその手技を習得した薬剤師が現場に出始めると、色々な
変化が見られました。特に薬剤師でしか知らない薬学的知識を
臨床現場に持ち込むことができることに、医師として驚きを覚えました。
つまり、薬剤師によるバイタルサインへの取組は、
単に、見守り機能にとどまらず、医薬品の適正使用とか医療安全の確保の観点から、重要ではないかと考えるようになりました。これがフィジカルアセスメント
の位置づけを考える上で大きかったです。
ちょうど、このころ6年制の薬学教育が実習などのフェーズに入り、
色々な議論が出てきました。薬局3.0と言ってきましたが、なんだ、
やっぱり薬剤師も変わらないと、訪問して棒立ちだと、意味ないな、と
思うようになりました。すなわち、6年制にも対応しうる薬剤師職能の
あり方が必要だという考えに至りました。これが、薬剤師3.0ということで
2010年になっていました。
それから3年。確かに、薬局3.0とか、薬剤師3.0といった概念は
それなりに論理の破綻なく説明できるようになってきました。
あとは、経営です。
在宅療養支援と言えば、何か「おっ」と思うのですが、
実は経営的には不利な要素ばかりが目につきます。
今後の医療として大事だと思う、薬剤師の活躍の場所としても
理解できるし、薬剤師もやりがいを感じる…
でもね。
というところです。
この2年ぐらい、私もその問題に直面してきました。
うちのスタッフにも無理をかけました。
でも、ようやく、見えたように思います。
これがこの夏。
前々から考えていたことを、紙に書いて、PCで清書して、
レジメにまとめてみました。
当社の現状を分析して、私のこの10年あまりを俯瞰して、
色々なことを反省したり、そうだったなと確認したりして
午前3時をまわっていたころでしょうか。
できた!
と思いました。
20数年前、大学受験の勉強をしていたときに、
数学や物理で、うんうんうなっていたときに、ぱーっと開けた感覚。
久しぶりでした。
言うなれば、薬局経営3.0。
まだ、仮説ですが、9月でもう一度おさらいして、
今年度下半期で検証します。
それで、きちんとデータが出るかどうか、私も正念場です。
地域医療にとっても、薬剤師にとっても、薬局オーナーにとっても
在宅医療への参画の意味が十二分にあるということがわかれば
業界はよりよい方向に、動いていくのではと思います。
そんなことがあった、今年の夏。
本当に、暑くて熱かった。
来年こそは、ちょっと、のんびり過ごしたい…^^;
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